Dr.Advice【1】/「ニキビはなぜできるの?」

ニキビのできる毛包

ニキビのできる部位は?

ニキビは、毛包(けあな)に皮脂や角質が詰まり、さらにそこにニキビ菌が繁殖して炎症を引き起こす皮膚病です。
カラダには、いたるところに毛包がありますが、部位によってその構造は異なります。顔・胸・背にある毛包を脂腺性毛包と言います。毛そのものは細く短く、毛孔の内腔に広く発達した脂腺があるのが特徴です。つまり、脂腺性毛包は、毛よりも脂腺が主役の毛包です。
一方、頭髪のように太く長い毛の生えているところや腕、脚など、体毛が比較的はっきりしている部位の毛包は、脂腺は細く短く、脂腺は脇役で、毛が主役です。
ニキビの発症する部位は、皮脂の分泌が主役となる脂腺性毛包の存在する部位、つまり顔・胸・背です。それ以外の部位で発症する吹き出物は、ニキビとは言いません。

ニキビの原因
Dr.関 大輔

セキひふ科クリニック
院長・医学博士
富山大学医学部 臨床教授  

関 太輔 先生

プロフィール

  • 1983年 富山医科薬科大学医学部卒業
  • 1983年 富山医科薬科大学皮膚科入局
  • 1983年 富山医科薬科大学皮膚科助手
  • 1991年 富山医科薬科大学皮膚科講師
  • 1996年-1997年 アメリカ・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)皮膚科に留学。 主任:Peter M.Elias教授のもと「皮膚バリアー、特にセラミドに関する研究」を行う。
  • 2000年 セキひふ科クリニックを開院(富山大学医学部非常勤講師を兼任)
  • 2009年 富山大学医学部臨床教授

    「思春期ニキビ」と「大人ニキビ」

    ニキビで悩まれている方は、若い方だけとは限りません。ニキビ治療で私のクリニックを受診する方の中には大人の方も多くいらっしゃいます。
    最近は「大人ニキビ」と言う表現を耳にすることがあるかと思います。「思春期ニキビ」と「大人ニキビ」の違いをご存知ですか。
    思春期は、男女に関わらず男性ホルモンが活発に作用して皮脂分泌が高まります。これによって毛包の出口の状態が一定に保たれていても、過剰に産生された皮脂の排出が不十分になり、皮脂を好むニキビ菌の繁殖を招きます。
    一方、大人は、仕事などによるストレス、不規則な生活や食事などによって、体内時計に狂いが生じ、肌の代謝もその影響を受けてしまいます。皮膚の表面の角層の代謝が低下し、滞った角質が毛包の出口を塞ぎ、思春期のように脂腺の活動が活発でなくても皮脂が詰まり易くなり、ニキビ菌が繁殖する条件を作り出してしまいます。
    こうして発症するのが「大人ニキビ」というわけです。

    白・黒・赤など、色によるニキビのちがい

    初期段階のニキビは、単に皮脂が溜まっている状態で「白ニキビ」(面疱、コメド)と呼ばれています。溜まった皮脂が多くなると、外に膨らみ、空気に触れて酸化して黒く変色し、「黒ニキビ」と呼ばれます。
    ニキビ菌は、もともと人のカラダに存在する常在菌の一つで、プロピオニバクテリウム・アクネス(通称、アクネ菌)と言います。アクネ菌は、空気に触れることを嫌う嫌気性菌で、毛穴の中に生息していて皮脂を栄養源としています。
    異常増殖しない限り、悪影響を及ばさないのですが、餌となる皮脂が増えるとアクネ菌が増殖し、カラダの免疫反応などで炎症を誘発し、「赤ニキビ」となります。
    さらに、ニキビを放置しているとニキビ跡(瘢痕)が残ってしまいます。
    初期の「白ニキビ」や「黒ニキビ」の段階で適切な処置を行えれば、化膿したり瘢痕を残したりするような症状への進行を防ぐことができます。 (Dr.Advice【2】「ニキビ治療」に続く)

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